人気ブログランキング | 話題のタグを見る
雨の日のお愉しみ
降ったりやんだり、微妙なお天気が続きますが如何お過ごしですか。
最近見つけて嬉しかった『銀の糸あみもの店』瀬尾七重・作×牧村慶子・画(1979年・旺文社)。繊細で美しいくもの巣じるしのレースの手編みのドレスやショールは、高価だけれど女の子たちの憧れ。この銀の糸あみもの店に就職した女友達を訪ねていった女の子が、そのまま蜘蛛のエサになってしまうという暗黒メルヘンなお話(実はその親友も、蜘蛛に姿を変えられて塔の中に閉じ込められている)。牧村慶子さんの可憐で繊細な鉛筆画がなんともいえずよくて、子供の本にしては珍しく再版されないままなのが残念です。
雨の日のお愉しみ_d0051304_10113571.jpg
表題作のほかに全部で12のお話がおさめられているのですが、「梅雨を売るむすめ」など雨にちなんだストーリーが多いので、6月が近づくとこの本のことを思い出します。「銀白色の布」というお話を読んで以来、あのなんの変哲もない白い透明なビニール傘がなんとなく特別な存在に感じられるようになりました。今だにちゃんとした傘を持っていなくて、あのまに合わせのようなビニール傘を愛用しているのは実はこの本の影響が大きいのかも⋯⋯。あと、雨の匂いをかぐと、条件反射的にあまい香りの紅茶が飲みたくなります。
最終章の古びたアンティークのお人形が、サンドイッチマンの男の子に心を半分もらって、人間の女の子になるお話もとてもすてき。働く女の子が主人公の話が多いので、むしろ大人になってからの方がしっくりくる童話集かもしれません。
※瀬尾七重さん×牧村慶子さんコンビの本は他に『魚料理もどうぞ』(1985年・旺文社)などもおすすめです。
by interlineaire | 2007-05-13 10:13 | Comments(2)
Commented by ぎゅうぎゅう at 2007-06-18 21:49 x
はじめまして、こんばんは。瀬尾&牧村さんの本についての記事を拝見して、「魚料理もどうぞ」入手いたしましたー。
仰るように繊細な絵とちょっと大人になってから読んでも奥深いお話の数々でしたv
Commented by interlineaire at 2007-06-19 14:46
ぎゅうぎゅうさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
『魚料理もどうぞ』入手されたんですね!
このコンビでもっとたくさん本をつくってほしかったですよねー。
『銀の糸あみもの店』は乙女度、かなり高いです。
文庫にもなっていたと思うのですが
やはり絶版であまり見かけないのが残念ですね。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< Carousel El Dor... ちいさなケイとのっぽのケン >>