久しぶりに打ち合わせで神戸へ。少し早めに出て、訪れたことのなかった長田界隈を散歩。阪神淡路大震災で被害が激しかったエリアですが、神社前商店街は昭和風の鄙びた雰囲気がまだ残っていて、懐かしさに胸が締め付けられました。 画像は楽しみにしていた、「ユリヤ」というソースの専門店。「ニッポンソースあります」という手書きの貼り紙にぐっときました。しかし、これは「日本が誇るソース」という意味ではなくて、「ニッポンソース」というブランドのソースを取扱っていますよ、という意味だったと後で判明……。 ソースやお酒のレトロな看板がずらりと掲げられた、お店の佇まいも素敵。地元長田でつくられている「ばらソース」は大阪天満宮近くにある行きつけのお味噌屋さん、「とりゐ味噌」(Click!)でも取り扱いがあるので知っていたのですが、ほかにもいろいろ見たことのない珍しいソースがありました。あまり粉もののイメージがない兵庫県ですが、実は地ソースの宝庫だったんですね……。 「ドリームソース」「プリンセスソース」のほか、「メリーとんかつソース」のコック帽をかぶった愛らしい少女のラベルに目が釘付けに。業務用の大きなサイズしかなく、さすがに使いきれないと思い買わなかったのですが、通常サイズがあれば欲しかった。 でも考えてみると、揚げ物はめったにしないし、ソースはほとんど使わないわが家なのですが……。 お向かいにある「ハラダのパン」もかわいいパン屋さんでした。創業70年以上にもなる老舗で、神戸市の学校給食としても、子どもたちに長年親しまれてきたそう。改装されているのでお店の佇まいに昭和っぽさはないのですが、たまらなくかわいい男の子と女の子のマークがショッピングバッグやパンの袋にあしらわれ、オリジナルトートバッグなども販売されています。パンの値段がすべて100円〜300円なことにもびっくり。 80〜90年代に少女時代を送った私と同世代の方なら、映画化もされた「天国にいちばん近い島」をはじめとする桂さんの活動や著作には、特別な思いがあるのではないでしょうか。神戸は桂さんが“天国にいちばん近い島”であるニューカレドニアに渡る以前の1964年、当時はあまりに遠かった外国への思いを抱きつつ旅した、あこがれの地だったのだとか。 クジラは彼女の絵によく登場するモチーフです。ニューカレドニアから帰る船上から目撃し感激したというエピソードを、著書で書かれていました。「暮しの手帖社」を退社後、世界中を旅して見聞きしたことを本に書いたり、お菓子づくりを仕事にして軽井沢に「アリスの丘ティールーム」を開いたり……桂さんには夢をすべて叶えた人という、キラキラしたイメージがあったと思います。 いわゆる「ベイクショップ」がここ何年かもてはやされていますが、素材にこだわったナチュラルで素朴な桂さんの焼き菓子は、まさに時代の先を行くものだったのかもしれませんね。 なお、著書でもメンタルの病気のことにはちらりとふれられていましたが、明るさや無邪気さのほうが前面に出ていて、気にとめる人は多くなかったと思います。それだけに04年の衝撃的な死と、翌年にご主人が書かれた本で知った夢の背景、もうひとつの真実は相当ショッキングだったけれど、実はダークサイドを知ってからのほうがより深く、森村桂という女性に魅きつけられている私。 原田知世さんも訪れたという「アリスの丘ティールーム」、一度は行ってみたかったな……と思いつつ、「人魚の涙」をしばらく眺めていました。 ※神戸市役所の展望室は誰でも無料で利用できますので、機会があればぜひ。あくまでも市役所ロビーなので簡素ではありますが、休憩用の椅子もあり、神戸の山側と海側両方のパノラマを楽しめます。
by interlineaire
| 2017-09-16 21:26
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