陽燈館&へなちょこの思ひ出。
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先日、京都・知恩寺の古本市の帰りに寄った、烏丸今出川にある『陽燈館』という喫茶店。明治〜大正期の西洋文化が日本に入ってきた頃につくられた、凝った意匠のランプやステンドグラスが内装に贅沢に使われており、何十年も前からそこにあるかのようにしっくりと馴染んでいました。画像はいちばん気に入った、ロマンティックな薔薇と踊り子のステンドグラス。ところが、実は初めて入店したこの日が1年5ヶ月という短い営業期間の最終日(!)だったのでした。

意外なことに、オーナーさんは別にいらして、日々お店に立っているマスターはアンティークには明るくないそう。中には外国車1台買えるようなランプもあるので、壊すのが恐いからなるべく触れないようにしているのだとか。内装や店名はそのまま残すようですが、オーナーさんが次に何をするかは不明とのこと。



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店名からもわかる通り、アンティークの灯りが好きでコレクションしていらっしゃる様子。ランプのみを展示したショーケースもあり、ピンク色のランプが愛らしい。最近、昔はあまり好きではなかったピンクのものがなぜか気になります。かつてはどんな部屋で、どんな人を照らしていたのでしょうか……。ガラスのドアノブなどディテールも完璧で、撮影などにも(何の?)使わせていただけそうな空間なのにとっても残念。

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カウンターの片隅には、京都らしい芸妓さんの団扇が。北野天満宮にほど近い花街、上七軒の「梅はる」さんのもの。モダンな色合いがすてきなガラス器やカップ&ソーサーも、すべて日本の古いものです。
昔、同じくアンティーク好きのおじさまに「古いものへの偏愛もほどほどにしないと、現代に戻ってこれなくなるよ(笑)」とやんわりたしなめられたことがありましたが、このお店のガラス玉の中のように心地いい静けさはもう戻ってきたくなくなりそうです。



<おまけ画像>
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今はなきお店つながりということで……これは90年代頃に嶽本野ばらさんが一時期、店長を務めていたことでも知られる、大阪・アメリカ村にあった雑貨店、『SHOPへなちょこ』の手描き看板(右画像)。10代の頃、野ばらさんのお店とは知らずに通っていたのですが、2009年にへなちょこが別の場所で復活したということで先日、初めて立ち寄ってみたところ、スタッフさんが仕舞ってあったのを出してきて見せてくれたもの。

「芸術的雑貨店 乙女の基本用品一杯」と書いてあります。当時のお店は狭くて真っ暗で、床になぜかミラーボールが回っている怪しいムード。同じ雑居ビルの1階にはパンクファッションの店や、天使グッズの専門店などもあっていかにも野ばらさんが好みそうな雰囲気でした。肝心の雑貨はどんなものがあったのかよく思い出せないのですが、当時、「オリーブ」で活躍していたスタイリスト、近田まりこさんが手作りした革のブレスレットが欲しかった記憶が。映画になった「世界の終わりという名の雑貨店」で再現されていたお店のように立派ではなかったけれど、不思議な空気感はかなり近いものがあったように思います。

左画像はその後、店名が変わって『アポリネール・エナメルダ』(エナメルを塗られたアポリネール、の意)になったときの看板。フリーペーパーによく広告が載っていて、「心の中では努力しているお店」などの野ばらさんが書くコピーが、おもしろくて大好きでした。
クリエイティブでかっこいい大人たちが集う場所(と、思っていた)、それを遠くから恐る恐る見つめて憧れていた気持ちを思い出し、おかしくて、ちょっと切なくなりました。今はちょっといろいろなものを見過ぎてしまったのかもしれないなあ……と、記憶より随分小さかった看板を見て思ったのでした。
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by interlineaire | 2012-11-05 15:57 | Comments(0)
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