ワンピースを着た人魚
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慌ただしく過ごしているあいだに、もう12月です。今年は何より震災もあったし、プライベートでも憂鬱なできごとが多かった1年でした。来年こそは、喜びに満ちた1年になりますように……。
今年最後の古書渉猟は、昭和20〜30年代にあかね書房から出ていた「世界絵文庫」シリーズの1冊、林芙美子・文、熊田五郎(千佳慕)・絵の『人魚のお姫さま』。このシリーズ、全50巻出ていたようなのですが、全巻揃っているところは、子どもの本に力を入れている図書館でもなかなかないもよう。

熊田千佳慕=昆虫画家というイメージしかなかったのですが、こんなのも描いてたんですね。人魚姫といえば、裸の胸を長い髪や貝殻で隠しているのが定番の描き方ですが、この本ではなんと、ワンピース(!)を着ています。しかも、スカートのフリルが三段重ねになった乙女チックなワンピースで、昔の少女漫画のようなタッチとも相俟って衝撃的でした。この可憐なテイストの絵を、もっと見てみたいです。



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お姉さまたちも、おそろいのワンピーススタイル。ストーリーは、人魚姫が海の底に自分だけの小さな花園を持っていて、そこに大理石の美しい少年の像を飾っていた……などというディテールの描写はすごく素敵だったのですが、ラストで王子の心臓をひと突きするかどうか逡巡した挙げ句に、短刀を海に投げ捨てる……という最もドラマティックなシーンがなぜか割愛されており、ただ静かに海に消えていく……というふうになっていてやや物足りない感じもありました。教育的な配慮が、何かあったのでしょうか……。ともあれ、私の人魚姫コレクション(Click!)の中でも、ベスト3に入る大好きな本になりそうです。

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この、登場人物紹介とか少女漫画そのものです。80年代にこれとそっくりなタッチの少女漫画家さんがいたように思うのですが、その人の名前がどうしても思い出せません……。
「世界絵文庫」シリーズには他に、川端康成の『青い鳥』、村岡花子『あしながおじさん』、吉屋信子の『家なき少女』、三島由紀夫の『真夏の夜の夢』などがあり、びっくりするほど豪華なラインナップです。三島由紀夫は『不思議の国のアリス』も手掛けていて、こちらも熊田五郎・絵なのですが、なんと某古書店で20万になっていて吃驚しました(Click!)。手にとってみたいですが、さすがに無理です。


さて、こちら(↓)は知ってそうで知らない、ガールスカウトのなんたるかを取材した新刊、『きれいな心と、なんでもできる手』(PHP研究所)とてもよかったです。森の中で女の子たちが協力し合いながらテントを張っていたり、敬礼に似た仕草をしている凛々しいグラビアを見ただけで、もうウルッときてしまいました。『ku:nel』に掲載された記事に加筆したもの。あの佐藤初女さんも実はガールスカウトだそうで、中でコメントされていました。

男の子になんでもやってもらうのではなく、女の子にだってあるはずの冒険心や、芯のある優しさを育てようという趣旨が素敵でした。キャンプで火をおこしたり、仲間と夜の森で眠ったり……。女の子たちのきりりとした誇らしげな制服姿、街中でたまに見かけていたけど、こんなに歴史と伝統のある活動だったとは。

d0051304_10505391.jpg翻って、私も少女時代にガールスカウトに入っていれば今とはまったく違う人生だったのでは……と考えざるをえませんでした。昔から、集団の中で自分の立ち位置を見つけてうまくやっていく、ということがどうしてもできない少女だったのです。現在の私はそのなれの果てであり、流れ流され、今こうしてフリーライターなんてやっているのかもしれませんね……。でも、教会の日曜学校すらもダメだったので、入団したところでやっぱり無理だったような気もします。
せめて来年は、ガールスカウトの創始者、B-Pのこの言葉を胸にすすんでいきたいと思います。


「自分のカヌーは自分でこげ。誰か他のひとにこいでもらおうと思ってはいけない。途中で、さまざまな困難、危険、浅瀬、嵐などに出会うだろう。けれど、もし冒険がなかったら、人生は死ぬほど退屈なものであろう。」
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by interlineaire | 2011-12-07 21:05 | Comments(0)
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