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ああ、わたしは空の全部を見たい
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過去のエントリーで取り上げた『薔薇は生きてる』、遅ればせながら復刊おめでとうございます。最近、某所で中原淳一が「ヒマワリ社」から1947年に出した版を手にとる機会があったのですが(画像参照。さすがにボロボロで、朽ちかけ寸前でした)、それぞれの版によってまったく違う本のように思えるから不思議。13cm×13cmくらいの正方形で、まさに麗しい乙女の手にふさわしい?小さくてとても愛らしい本でした。
新版は、表紙イラストが今人気の中村佑介さんだったのにはちょっと意表を突かれましたが、山川春子さんの回想に「本来、彌千枝はセンチメンタルな、女らしいという静かな女の子ではないから⋯⋯」とあったので、その意味ではイメージに合っているのかもしれませんね? 巻末の千野帽子さんの解説は、この本が作中に登場する川端康成の『乙女の港』のことにもふれられていてさすが、読みごたえありました。
実は心が異様に狭い私は、「知る人ぞ知る」本でなくなってしまったことを多少、残念に思う気持ちもありますが(笑)、きっとこの先も何十年かごとにしぶとく再版されつづけ、愛されつづける不思議な生命力を持った本なのかもしれません。
「ベッドを窓ぎわに寄せて空を見た、私は空の大きいのを忘れていた」「窓際で見た空のひろさ、ああ、私は空の全部を見たい」——この一文が透明で、切ないです。
創英社のサイトを見ると、内容見本プレゼントというのをやっていました→(Click!)
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by interlineaire | 2008-08-31 00:19 | Comments(0)
わが少女の日
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『赤毛のアン』の翻訳で知られる村岡花子さん関係の資料を漁っていたところ見つけた、『わが少女の日』(昭和十七年・甲鳥書林)。各界で活躍中の女性達がそれぞれに少女時代の思い出を綴ったエッセイを、村岡花子さんが編者となってまとめたもの。野の花があしらわれた楚々とした愛らしい装丁で、参加者も平塚らいてうや上村松園、若山喜志子(若山牧水の妻で、歌人)など豪華メンバー。

バリバリのウーマンリブ活動家である平塚らいてうが、少女時代に好きだったお菓子(お煎餅や、薄荷板、金平糖、風月のカステイラなど)のことを無邪気にえんえんと綴っていたり、その人の意外な一面がちらりと恒間見えておもしろいです。
やっぱり、どんな偉業をなしとげた女性もかつては「ふつうの女の子」で、最初から「とくべつな女の子」なんて誰もいないんだなぁ、としみじみ。

村岡花子さんによる、「(版元である)甲鳥書林には悪いけれど、やはりこの本はわたくしども女性によつて書かれ、女性によつて讀まれ、さうして愛される本としたい。なるべく男の人たちには興味のない、わたくしどもだけの本でありたい。さうした書物もあつてよいのではないかと思ふ」というあとがきの言葉も素敵でした。

※たまたま、同じ時期に嵐山光三郎の『人妻魂』(こちらは新刊)を読んでいて、『わが少女の日』の執筆者と取り上げられている女性がかなりかぶっており、こちらは、明治・大正・昭和を生きたほとんど「悪妻列伝」ともいうべき内容なのですが(この本の中では、「悪妻」はむしろ、ほめ言葉です)、「ありし日の少女が、いかにして悪妻となったのか?」を検証しながら読むと感慨深いものが⋯⋯。
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by interlineaire | 2008-08-29 22:25 | Comments(0)
夏への扉 The door into Summer
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天然生活10月号の連載、今回は珍しく新刊2冊です。「“夢の実験場”としてのお店づくり」をテーマに、小川糸さんの『食堂かたつむり』と、朝倉かすみさんの『タイム屋文庫』を紹介しています。女性にとって永遠の夢である「小さなお店を開くこと」をテーマに書きました。
とくに『タイム屋〜』はもう、抱きしめたいほど大好きな1冊。時間旅行(タイムトラベル)がテーマのSF小説ばかりを扱う貸本屋、という設定の物語なのですが、私も実は『時をかける少女』を筆頭にタイムトラベルものが大好き。なんというか、「二度と会えないと思っていた人にまた会える」とか、もっといえば「出会うはずのなかった運命の人と会ってしまう」という究極の状況にぐっときてしまうんでしょうね。文中に登場する作品はすべて朝倉さんの愛読書だそう。
作中にも登場した『たんぽぽ娘』のほかに、個人的には『ジェニーの肖像』とか『ゲイルズバーグの春を愛す』なども好きなタイムトラベルものです。あと日本のものでは、大原まり子さんの『メンタル・フィメール』という本に出てくる『時の花束』という短編とか。連載ではもちろんSFへの愛について語っているわけではありませんが(笑)、よろしければぜひ、ご覧になってください。

※画像はタイムトラベルSFの古典であり、猫好き必読の書でもある? ロバート・A・ハインラインの『夏への扉』。昭和33年、講談社版です。
もう夏も終わり。四季の中で夏がいちばん好きなので、この時期は毎年さみしい気持ち。『夏への扉』に登場する猫、ピートのようにいつでもそこを開けさえすれば夏へ通じる扉があればいいのに、と願わずにはいられません⋯⋯。
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by interlineaire | 2008-08-21 22:00 | Comments(8)