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雨の日のお愉しみ
降ったりやんだり、微妙なお天気が続きますが如何お過ごしですか。
最近見つけて嬉しかった『銀の糸あみもの店』瀬尾七重・作×牧村慶子・画(1979年・旺文社)。繊細で美しいくもの巣じるしのレースの手編みのドレスやショールは、高価だけれど女の子たちの憧れ。この銀の糸あみもの店に就職した女友達を訪ねていった女の子が、そのまま蜘蛛のエサになってしまうという暗黒メルヘンなお話(実はその親友も、蜘蛛に姿を変えられて塔の中に閉じ込められている)。牧村慶子さんの可憐で繊細な鉛筆画がなんともいえずよくて、子供の本にしては珍しく再版されないままなのが残念です。
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表題作のほかに全部で12のお話がおさめられているのですが、「梅雨を売るむすめ」など雨にちなんだストーリーが多いので、6月が近づくとこの本のことを思い出します。「銀白色の布」というお話を読んで以来、あのなんの変哲もない白い透明なビニール傘がなんとなく特別な存在に感じられるようになりました。今だにちゃんとした傘を持っていなくて、あのまに合わせのようなビニール傘を愛用しているのは実はこの本の影響が大きいのかも⋯⋯。あと、雨の匂いをかぐと、条件反射的にあまい香りの紅茶が飲みたくなります。
最終章の古びたアンティークのお人形が、サンドイッチマンの男の子に心を半分もらって、人間の女の子になるお話もとてもすてき。働く女の子が主人公の話が多いので、むしろ大人になってからの方がしっくりくる童話集かもしれません。
※瀬尾七重さん×牧村慶子さんコンビの本は他に『魚料理もどうぞ』(1985年・旺文社)などもおすすめです。
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by interlineaire | 2007-05-13 10:13 | Comments(2)
ちいさなケイとのっぽのケン
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最近の古書渉猟で発見した『ちいさなケイとのっぽのケン』(昭和37年・集英社)。作者はなんと曽野綾子さんで、彼女が少女小説を書いていたことにまず衝撃を受けたのですが、もっとすごいのが装丁が田名網敬一ということ。『りぼん』誌上で連載していたものをまとめた本のようで、かわいらしい挿し絵は日向房子さんによるもの(『ひまわり』や『女学生の友』など、多くの少女誌で挿し絵画家として活躍していた方です)。
内容は、ケイという良家の少女と、ケンという貧乏なハーフの少年の友情物語。ケイの母親につきあいを反対されたふたりが、深夜、懐中電灯のモールス信号で会話するなど切なくロマンティックなシーンもあり、「世間知らずの良家のお嬢さん×ナイーブな不良少年の淡い恋」って、古典的だけれど個人的には好きなストーリー設定なので(この場合はあくまでもピュアな幼馴染み的友情ですが⋯⋯)なかなか楽しめました。
それにしても、この頃から曽野綾子といえば、なキリスト教的世界観と、少女小説にもかかわらず靖国問題等のエピソードをさりげなく織り込むなど極右的な立ち位置はしっかり健在で驚くばかり。実は彼女の近年の動向をまったく知らなかったため、ネットでちょっと調べてみたところ、このひとって先日亡くなった横山ノックのセクハラ事件の際、毎日新聞誌上でものすごくマッチョ的なというか、反フェミニスト的な発言をなさっていたんですね。
これは、そんな彼女が若き日に描いたボーイミーツガール小説⋯⋯ということで、単なるライトノヴェルとしても充分におもしろいのですが、現在の彼女を知れば知るほどその思想の萌芽をよりディープに感じとることができるでしょう。一見無邪気でかわいいフリをして、実は恐ろしく骨太な作品だと思いました。
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by interlineaire | 2007-05-10 14:51 | Comments(2)