大阪倶楽部
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「大阪倶楽部」というクラシック建築の公開見学会があったので参加してきました。紳士たちの社交場として大正時代につくられた場所で、会員制のため普段は入ることができず、中はいったいどうなっているのだろう?と気になっていたのです。

男同士でお酒を飲み、煙草を吸い、政治談義したり、趣味を楽しんだり……といった海外のサロン文化を参考につくられたそう。同業者だけでなく、さまざまな職業の同性と、利害関係なく知り合い、友情を結べる場所。いまだに女性は会員になれないという前時代的な場所ではあるものの、ここには大正〜昭和にかけての空気感がエアポケットのように確かに残っていました。

建築的にはいろんな国のテイストを少しずつ取り入れた自由様式だそうですが、やはり紳士向けの空間だからか、優雅で装飾的というよりは、オーセンティックかつ重厚な意匠が多かったように思いました。

会員が寄贈したという絵画が建物内のあちこちに飾ってあるのも、見どころのひとつ。これは(↑)食堂にかけてあった、小磯良平の油彩。白いドレスを着た2人の女性が、優雅に描かれています。美術館クラスの作品を食事をしながら楽しめるなんて、なんとも贅沢ですよね。大阪経済界の底力を感じました……。





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1階にバー&喫茶室、囲碁・将棋室、撞球室(ビリヤード場)があり一種の娯楽場になっています。映画の舞台になりそうな広々とモダンな空間が、やわらかな間接照明に浮かび上がるさまは圧巻。バーのカウンターや撞球室には、それぞれ制服を着た女性スタッフがいます。

バーカウンターの奥にちらっと撞球室のグリーンが見えているのがわかるでしょうか? このビリヤード台(↓)は、京都の大山崎山荘にあったものだそう。100年ほどが経過しているアンティークで、これほど大きな台は珍しいのだとか。後ろに並んでいるキューにも年期が入っていました。壁には年ごとにチャンピオンの名前を印字した木製プレートが掲示してあるのですが、その書体までもがクラシカルでかっこいい。
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ずらり並んだ、囲碁&将棋用の机と椅子は圧巻でした。画像ではフォトジェニックなところを選んで撮っていますが、部屋によっては、椅子が空間に似合ったアンティークではなく、現代の座り心地のよさそうなものだったりと、雰囲気より実質重視のところも実はありました。しかし、重要文化財として大切に保存&維持されているだけでなく、いまも現役で活用されている建物であるということが、大阪のクラシック建築の特徴でもあるのです。

完成した当時は40~50代の働き盛りの紳士たちがメンバーの中心だったそうですが、現在では高齢化がすすみ70~80代が中心のようです。読書室で新聞を読みふけっていたり、差し向かいで囲碁をさしていたりと、見学中も品のいい老紳士をちらほらと見かけました。
それにしも、女性のためだけのこんな空間があればいいだろうなあ、時間を気にせずにアフタヌーンティだとか、手芸や読書を楽しめるような……と思わず妄想してしまった私です。


<おまけ>
帰りに立ち寄った、「コーヒーハウス モカ」。「昭和46年創業!!」という手書きのあやしい看板が路上にあり、古いビルの地下にあるのを発見したお店です。入口に70年代のものらしい日本コーヒー振興会のサイケな絵皿が飾ってあるのが気になってじっと見ていると(「飲むんだったらコーヒー」というコピーが入っていました)、オーナー夫婦が気配に気付いてどうぞ、どうぞと招かれてしまいました。

窓のない薄暗い穴蔵のような空間でBGMにジャズのアナログレコードをかけているので、昔はジャズ喫茶だったのかな?と思って聞いてみたところ、ずっと普通の喫茶店ですよ、とのことでした。とにかく雑然としていて、昭和の頃からそのまんま変えてないんだろうなと思われる内装もすごかったのですが、お客さんからもらったといういわゆる「いやげもの」があちこちに飾ってある実家のようなセンスに衝撃を受けました。

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コーヒー以外の飲み物があるのか、ケーキとかサンドイッチなどのフードメニューがあるのかも最後まで謎のまま。今時、どんな小さな店でも食べログやらぐるなびに載っているものだけど、ネット上になにひとつ情報がなく、ここもまさに昭和という時代に通じるエアポケットだったのかもしれません……。
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by interlineaire | 2015-05-04 00:31 | Comments(0)
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