雪予報
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今年は暖冬で、一度も雪を見ないまま春を迎えてしまいましたが……ずいぶん前から紹介しようと思いつつできないまま時が過ぎていた故・冬野虹(ふゆの・にじ)さんの句集「雪予報」。俳句、というものにあまり親しんでこなかった私ですが、虹さんの句は特別で、少女っぽさのなかにどこか死の匂いが漂う作風に魅せられています。

「鏡の上のやさしくて春の出棺」「荒海やなわとびの中がらんどう」「薄荷ゼリー沼から見てゐる冬景色」など虚無的な句のほか、「かなぶんぶんロングスカートでゆくわ」なんていう句もチャーミングで大好きです。

虹さんの存在を知ったのは、大阪・長崎堂(Click!)のお菓子、「クリスタルボンボン」(Click!)から。小さな小箱の中に、ピンク色の原稿用紙に書かれた「シャーロットは見ている 光のように 虹のように スノードロップ」という詩片が入っているのですが、このささやかだけれど、実にロマンティックなワードが虹さんによるものだと長崎堂のマダムから教えていただきました。



彼女が書いたものならどんなものでも読みたいと思っていたところ、「雪予報」(沖積社)なる句集があると知り、ご主人の俳人・四ッ谷龍さんから何年か前に送っていただくことができたのです。 フランス装のとてもかわいく、シックな造本でまさに「宝物」といったたたずまい。表紙に控えめにあしらわれた蝶の絵も、虹さんご本人によるものです。汚さないよう、傷まないよう、いつもそぉっと手にとっています。

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左はおふたりの友人であるティエリー・カザルス氏がフランスで刊行されたペーパーバックで、虹さんと龍さんの俳句が見開きごとに対になって紹介されています。(「Les herbes m'appeent=草に呼ばれぬ」というタイトル)。

龍さんと虹さんはおふたりでかつて、「むしめがね」という俳句の雑誌もつくられていて(右)、追悼号となった「Décolâge de Niji Fuyuno 虹の離陸号」では彼女の生前の姿や暮らしぶりを少しだけ拝見することができました。長い髪に大きな目の、想像していた通りの方。ブルガリの香水「オー・パフメ・リチュアル・エディション」(限定品)のパッケージデザインにあしらう俳句に採用されていたことも、この冊子で知ったこと。

詩集は長きにわたって読み返すたび、その時々の自分の年齢や心情で好きな詩が変わっていくものだけど、この句集も毎年、開くたびに好きな句が変わっていくのかな……と思っています。
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by interlineaire | 2016-01-06 01:39 | Comments(0)
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