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或る客間での物語
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あれからひと月以上が過ぎました。季節は立ち止まることなく前にすすんでいきますね。葉桜を眺めつつ、久しぶりに古本市へ行ってきました。この『或る客間での物語』は、宇野千代が自分で経営していた出版社、『スタイル社』から出したもの(昭和16年)。『スタイル』というファッション誌のほかに、こんな単行本も出していたんですね。なんてシックですてきな装丁……とうっとり眺めていたら、画家の阿部金剛によるものでした。

中身は私小説+エッセイという構成で、千代さんが岡本かの子の追悼会に出席したときのことを綴った文章がすばらしかった。一方、小説も私小説風のものが多いので、千代さんをとりまく当時の人間関係に興味がある者にとっては、ちょっとのぞき趣味的な楽しみも……。彼女の危なっかしいほど率直で、そのくせどこか間がぬけているところ、そして「どこまでいっても構わない」というような大胆不敵さがやっぱり大好きです。



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この『櫻ホテル』は数年前に名古屋の古本屋で見つけたものですが、『或る客間での物語』と背のデザインなどまったく同じだったのでこちらも阿部金剛によるものだということがわかりました。最初は東郷装丁?と思っていたのですが結局、装丁者の名が記載されていなかったので本には載せなかったのです。
内容は、モダンガールと作家の恋物語ですが、今よりずっと自由恋愛への風当たりが厳しかった時代のはずなのに、登場する女の子がやたらと奔放なのに驚いた記憶が。

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こちらは、同じ日に200円と安かったので一緒に購入した、櫻色の背景がなんとも素敵な東郷表紙の『週刊朝日』(昭和26年)。コンクール形式でいろんな画家が表紙を描いており、他には花森安治や猪熊弦一郎など豪華メンバーが毎号参加していたもよう。人気投票に応募すると、なんとその画家が描いた原画を抽選でプレゼント、みたいなことをやっていたようで、今となっては垂涎ですね。
巻末に載っていた、「私はいつも女の顔を見て暮らしている。街を歩いても、電車に乗つても、女の顔ばかり眺めつゞけている……」という本人のコメントがいかにも青児さんらしくおもしろかった。さて、急な話なのですが最後にゴールデンウィーク中に参加するイベントのお知らせをふたつ。

■手紙社 presents 『紙ものまつり』
手紙社さんが昨日から開催されている『紙ものまつり』にこそっと参加しております。『gris-gris 』03号をつくったのはもう5年前?になるので、お誘いいただいたときには吃驚しました。すでに完売しており、卸しをお断りせざるをえなかったお店もあったので躊躇したのですが、神田の書肆アクセスさんが閉店なさったときに戻ってきたぶんが10冊だけ残っていたので、思い切ってそれを出すことに……。私は行けないのが残念ですが、よろしければぜひおはこびください。詳細はこちらへ→(Click!)

■『アップルの発音』フリーマーケット
南船場にある雑貨店、prideli graphic Laboで行われる、恒例のフリーマーケットにまた参加します。実家のガレージで長年、眠っていたピクニックバスケットやカトラリー、サラダボウル、暮らし系のかわいい本など少しですが出品します。今年は料理家・冷水希三子さんがつくるりんごの飲み物も! 『アップルの発音』さんの食パンも楽しみです。早起きして手に入れなければ……(笑)詳細はこちらへ→(Click!)
by interlineaire | 2011-04-04 13:18 | Comments(0)
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